子ども達のために僕らができること

破天荒な小学校教員が言いたいことを言うブログ

読み書きが苦手な子のために

読み書きが苦手な子への支援と指導

読み書きが苦手な子っていますよね。文章を読むのが遅い漢字が覚えられない本を読むのが嫌い作文が全く書けないetc…。そんな子たちは学校の中でとても生きづらさを感じています。

学校では、教科書に書かれたたくさんの文字を読まなければなりません。黒板に書かれた字をノートに書き写さなければなりません。漢字を何度も何度も書いて覚えなければなりません。

これを読んでおられる方の中にも、頑張っても中々漢字が覚えられなかったり、それなのにテストの答案を漢字で書くことを強制されたり、上手く読めないのにクラスメイトの前で音読をさせられてサボってると思われたりした人がいるかもしれませんね。

でも、読み書きが苦手なのには原因がありますし、きちんとした支援の仕方指導の仕方もあるんです

 

 

1.読み書きが苦手な原因

字を読む。字を書く。という動作には実はたくさんのステップがあります。例えば【数】という漢字を読む場合…



①形を認識する。
「えーっと、ちょんちょんに横棒に…」



②記憶から適合するものを探す。
「見たことあるなー、何だっけなー…」

③読み方を思い出す。
「そうそう!【かず】とか【すう】だ!」

④前後の文脈や連なる文字から読み方を決める。
「えー【数字】だから…かずじ?すうじ?」

⑤その音の言葉が持つ意味を思い出す。
「【すうじ】って確か1とか2のことだ!」

 

っていう具合です。

もし、このステップのどこかに苦手な部分があると大変です。

特に多いのが形を正確に把握できないパターン
【数】の【米】の部分が✖️に見えたり、右側のつくりがどういう形になってるのよくわからなかったりする子は、覚える段階で間違って覚えてますから当然【数】と字が出てきても読めません。

 

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そんな子の見る文章は、僕らがアラビア語の本を読むぐらいエネルギーの必要な作業です。結果、理解力は高いのに読むことにエネルギーを使い果たして問題が解けない…っていう子はたくさんいます。

2.読み書きが苦手な子への支援


じゃあ、どう支援すれば良いの!?っていう話です。

まず、支援する時は目的を定めてください

例えば……「文字を読むことが苦手で授業中、教科書を読んだり、黒板を書き写したりできない」子がいたとします。
その子への支援の目的を「その子が授業の内容を理解する」に設定したとします。

それなら…


・黒板を予め写しておいたノートを渡す(虫食いにして穴埋めだけさせるのもOK)

・授業の最後にタブレットで写真を撮らせる

・自分のわかったことや考えをボイスレコーダーに録音させる

・わかったことは絵や図で書いて、言葉で補足する

教科書の文や問題文は読み上げる

などの支援が考えられます。

 

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テストでも同じく

・ひらがなが読めるならルビを振る

・問題を読みあげる(ボイスレコーダーに録音しておいたのを渡すのもOK)

・答えは口頭で解答しても良しとする

・テスト時間延長を認める

などができます。

支援の仕方は、その子の実態や環境に合わせて様々な方法が考えられますが、大事なことは臨機応変に対応することだと思います。


「そこまで甘やかしていいのか?」って言う人もいるかもしれませんが、これは甘やかしではなく、受けられて当然の支援です

視力が悪い人に眼鏡は甘えって言わないでしょ?

 

3.読み書きが苦手な子への指導


「支援するのは良いけど、じゃあ読めないままでいいの?」って言うとそれも違います。支援は、「学校の中でその子が感じている障害を取り除くこと」です。

それと並行して指導も行います。指導は、「その子の自立を目指して必要な力をつけること」です。

そのため、あれもこれもと習得させるのではなく、必要なものに絞りこみます。
自立のために最低限必要な指導の目標は…


①ひらがなを完全に習得する。

②音読の速度を上げる。

③語彙を増やす。


この3つです。

まず【①ひらがなを完全に習得する】ですが、断言します。ひらがなさえ完璧に習得できたら何とかなります!

 

ひらがなさえ習得できれば、

わからない事はスマホで検索できます。

電子辞書で漢字も調べられます。

PCの仮名入力もできます。

読み方がわからなければ人に聞けば何とかなります。

 

ひらがなさえ完璧に習得できれば、色んな支援や乗り越える方法があるんです


「ひらがなぐらい余裕だわ!」と思うかもしれませんが、6年生でもクラスの中に2~4人程度の割合で、ひらがなを100%習得できていな子がいます。特に「ちゃ、ちゅ、ちょ」や「ぴゃ、ぴゅ、ぴょ」等、濁音・半濁音や拗音が混ざったものは間違いやすいです。濁音等も含めて、3文字以上スムーズに書けない字があれば、恐らく授業中、読み書きが原因でしんどさを抱えていると思われます

ひらがなを習得するには、

50音表を見ながら、「あかさたな はまやらわ」の発音練習をする。
 ↓
「あ、あいうえお。あか、かきくけこ。あかさ、さしすせそ」と発音練習をする。
 ↓
何も見ずにノート等に50音を書いてみる。
 ↓
書けないところ、間違ったところを50音表を見ながら書き直す。

これを1日5~10分程行います。何も見ずに3日連続パーフェクトで書けるようになったら時間を計ります。50音を3分程で書けるようになる頃には、完璧に習得できているでしょう。

「がざだばぱ」や「きゃきゅきょ」等もこれと同じように指導していきます。

 

 

②音読の速度を上げる【③語彙を増やす】は平行して行うと効果的です。

その前に、なぜ音読の速度と語彙力が読み書きの苦手な子に必要かと言うと、読み書きが苦手な子は知っている単語や知識をフル稼働して文章を読解しようとします。

つまり語彙や知識が豊富であるほど、読むことのハードルが低くなるのです

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小学校の中学年ぐらいまでは、耳から聞いた情報やTVで見た物で補えるのですが、段々と成長するにつれて、文字から情報を入手することが多くなります

 


この時に読むことが苦手だと

読むことが苦手で上手く情報入手ができない
 ↓
語彙や知識が増えず読解できない文章が年齢と共に増えていく
 ↓
読書などがますます嫌いになる
 ↓
読むことが上達しない
 ↓
読むことが苦手で情報入手ができない

 

という悪循環に陥ってしまいます。

 

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【音読速度が速い=情報入手量が増え読解力がUPする】
ことになるんです。

実際の指導方法としては、【単語を読みながら覚えていくこと】が、地味ですが確実です。特に、「ぼうし」や「きって」といった、音と字が異なる単語は丁寧に指導していきます。

更に、【お・を】【わ・は】【え・へ】などのくっつき言葉を教え、短い文を読む練習をしていきます。使う教材は、教科書や絵本じゃなくてもカルタボードゲーム等、子どもが興味を持つ物なら何でも良いと思います。

語彙を増やす一番良い方法は「興味のあることをとことん掘り下げる」です。興味のある事、興味のある媒体からなら、子どもはいくらでも吸収して語彙を増やしていきます。子どもがゲームに熱中してるなら、ゲームを取り上げるより、一緒にゲームの話をして、面白いゲームを紹介してどんどん新しいものに触れさせてあげれば、驚くほどの早さで語彙を増やしていくでしょう。

 

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その時に気をつけて頂きたいのは、例えば「youtubeずーーっと見っぱなし」のように、インプットばかりにならないよう、たくさんアウトプットさせてあげてください

たくさん会話するのも良いですし、Twitterで呟くのもいいですし、Youtubeに動画を上げるのも良いと思います。身近な人間が否定せず、発信したくなる環境を作ってあげてください。


4.読み書きが苦手だって問題ない!

ここまで、読み書きが苦手な子の原因と、支援や指導の方法を述べてきました。最後に心構え的なものを少しだけ書きたいと思います。


今の学校では、授業やテスト等、色々な場面で読み書きができず苦労すると思います。でも、読み書きが苦手だって大丈夫!

ひらがなしか書けなくたって、素晴らしい文を書ける力があるなら、PCで変換すればいい。変換する時に、正しい漢字さえ選べれば何の問題ありません。
ボイスレコーダーで録音した物を、誰かに手伝ってもらって文章に書き起こすことだってできます。

全部自分で手書きするっていうこだわりさえ捨てれば、ブログだって書けますし、小説や論文だって書けるんです。手書きにこだわる必要なんかないんです!

 

「それでも少しくらい漢字も覚えないと…」って考える方もいらっしゃると思うので、漢字について少しだけ。


漢字は小学校3年生までの漢字がわかれば大丈夫です。

それさえわかれば、後は語彙力と知識と読解力で何とかなります。ルビ振るなり人に聞くなりすれば生きていけます。

覚える時も、従来の見た字をひたすら書き続けるのではなく、

例えば「短」という字を覚えるなら


短(みじか)い
矢(や)が
豆(まめ)にささった


という風にゴロ合わせのように、音で覚えていくと記憶に定着しやすくなります。このゴロ合わせを考えるのが一苦労なんですけどね。

 

読み書きの苦手な子が、1日でも早く【生きづらさ】を感じなくなれば良いなーと思います。長くなりましたが、最後までお読み頂いてありがとうございました!